理事長挨拶
ご挨拶:
歯科用CBCT認定医制度を開始いたします!
会員の皆さまお元気でしょうか?
本邦の歯科用コーンビームCT(以下,歯科用CBCTと略す)販売台数が, 20,000台を超え,現在,日本は世界一の歯科用CBCT保有国になっています。2012年4月1日から開始された保険導入も販売台数の増加に拍車をかけたと思います。これら歯科用CBCTの普及に伴い,保存治療や埋伏歯の治療,口腔インプラントや顎関節治療を中心に,歯科用CBCTを日常臨床に利用する先生が増加の一途を辿っています。また,CTを中心とするデジタル画像機器の応用により患者データを含めた各デジタルデータの統合化も加速しています。今後もデジタル機器によるDICOMやCAD/CAM等の個々の医療データのみならず,患者の医療データを統合する動きは,(我々歯科領域も含め,)さらに加速すると考えられます。これらの動きは,個々の患者の受診データや画像,薬剤,栄養情報等の個々のデータばかりでなく,各医療施設間の医療情報システム全体の統合化でもあります。地域格差の解消のためにも,超高齢化を迎えた日本の医療には重要な医療情報の統合が進むことになると考えられています。よってこれら情報を共有する可能性のあるCT情報を円滑に使いこなす歯科医師の確保が急務となっています。一方,開業医の先生方から持ち込まれる歯科用CBCT画像から,Incidental finding (偶発所見:たまたま画像に映し出されていながら、検査目的と異なる領域のため疾患を見落としてしまうこと)の見落とし事例に多々遭遇しています。それらの理由として.歯科用CBCTをお持ちの50歳代以上の多くの開業医の先生方は、学生時代にCTの原理や特徴および読影等を学生時代に学ぶ機会が乏しかったためと推察されます。また,歯科臨床医になっても歯科用CBCTの基本的な取扱いや画像診断に関する知識を学ぶ機会も少なかったためと思われます。各歯科医師会の講演会や有志の研究会等で知り合った先生方からネットを介して,また学会会場で(プリントやPC等をもって駆け寄ってきて)ご自分の症例に関するCT所見の質問をされることが多々あります。CT読像で困られている臨床医の先生方にとっては切実な問題と思います。そのような状況を一日も早く解消するため,その一端を日本歯科放射線学会が担っていけたらと思います。そのような現状と背景を踏まえたうえで,日本歯科放射線学会は今回12月11日の第1回歯科用CBCT認定医講習会(日本大学歯学部新井嘉則教授世話人)が開催されます。
歯科用CBCT認定医の大きな使命は,国民に安全,良質な歯科医療を提供し,超高齢化を迎えている日本の健康増進及び福祉向上にも貢献することです。CBCT画像診断ができることはもちろんのこと,今後は診断参考レベル(Diagnostic Reference Level: DRL)等の最新のCT被ばくの概念や放射線取扱の最新情報等,今後歯科用CBCTの取り扱いが法制化されても,安全に正しくご利用いただけるよう最新情報もお伝えする予定です。また.次のステップは症例を中心としたアドバンスなCT読像講習会も開催したいと思っております。その第一歩として先生方の歯科用CBCT認定医講習会のご参加を心からお願いする次第です。
ご興味のある先生はどうかご参集ください。
2022年11月吉日
日本大学松戸歯学部放射線学講座 教授
金田 隆
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理事長紹介日本大学松戸歯学部放射線学講座 教授 1986年3月31日 日本大学松戸歯学部卒業 【免許・資格】 【受 賞】 |